講演レポート
• 浅間病院講演会レビュー
このほど佐久市立浅間総合病院へ講演の依頼を頂戴し、「納棺師の仕事~死後処置の実際について~」という演題で講演に伺いました。当初は30名ほどの講演会の予定でしたが、お声掛けをいただいたところ、70名ほどの会となり、予想していた以上に沢山の方とお話をさせていただける機会を頂戴しました。死後処置についての関心の高まりを実感として感じることができました。
今後の医療従事者に対する、死後処置を巡る環境は、高齢者人口の増大に伴い、より負荷の掛かるものになることが予想されています。また、同時に緩和ケアなどの死への向き合い方についても大きな関心が寄せられています。そうした中で、葬儀社の目線で死の環境と、その処置についてのノウハウや知識を現場の医療従事者と共有することにより、お互いにとってよりよい学びの場になるのではと考えてきました。
葬儀社である、私達みつわにとっての死は「点」での接点となりますが、医療従事者にとっては、「線」の延長線上に死が存在しています。そうした中で、死を如何にして受け止めるかが、医療従事者にとっての精神衛生上に多大なる影響を与えるものと考えられます。継続可能な仕事としての医療を実現させるためには、技術だけでなく、精神面や思考のための道具も同時に持ち得ることが重要であると考えています。
このたびの佐久市立浅間総合病院での講演は次の流れでおこないました。
それぞれについてポイントを下記に合わせて列挙いたします。
① 納棺師の仕事について
いわゆる映画「おくりびと(TM)」の世界の納棺師と現実世界の納棺師のそれぞれについて見ていきました。特に現実世界で起こる交通事故や死亡事故、自死などの現場での死後処置や、気をつけるべきポイントなどについての話をしました。病院に搬送されるケースもありますが、多くの場合発見時に死亡が明かである場合が多く、警察署へ運ばれた後に、遺体検案書の作成のみという場合がほとんどとなります。そうした際に、病院を通らない遺体へのケアを以下に行い、遺族のケアに努めるのか、といった点についても触れました。
② 死後処置の実際
もっとも時間を割いて、お伝えしたことが「死後処置の実際」についてです。病床で息を引き取られたケースであった場合でも、適切な処置が行われずに自宅に搬送されるケースがまだまだあります。それは、死後の遺体に起こる変化についての経過を正確に把握していないためであると考えられますが、そうした誤解による処置を防ぐために、科学的見地からまとめられた遺体保全についての知識を共有いたしました。
特に死後の身体に起こる反応の中でも乾燥や腐敗がもたらす変化についてを具体的に追いかけながら、目の前で起こる症状から、原因を探り対処方法を学ぶといった内容で講演を進めました。
③ メイク・着せ替えについて
納棺師が学ぶメイク術と、着せ替え方法についての知識を共有しました。特に病状や死因に伴う遺体の変化を見据えたメイク方法に重点を置いて共有しました。男性と女性の違い、体温の違い、乾燥の進み方、亡くなった方の年齢、死因などによってもメイクの方法が異なるという「死が個別的である」という原則に基づいたメイク方法をお伝えいたしました。
④ 死の受容れ方・向き合い方・グリーフケアについて
特に葬儀社としてみつわは、死の捉え方についてのプロフェッショナルであるという自負があり、宗教上の解釈であったり、死後の世界についての知識を医療従事者と共に共有することが助けになるのではとも考えています。
近現代史までに見られる葬送の文化のそれぞれの理由や、時代毎に考えられてきた死相感を共有いたしました。死が身近なものであった(死亡人口全体における高齢者の死亡率が低い頃)頃の死の受容れ方などに見られる解釈や、喪についての理解を深めるための説明を中心にいたしました。
⑤ みつわについて
みつわは葬儀社が嫌いで始めた葬儀社です。そのため業界にある、いわゆる暗黙の了解であったり、定価とサービス内容を明かさないケースや見積提示の無いスタイルなどは徹底的に見直してきました。そうした中で、さまざまな死の環境の多様化により、死を受け入れて、送り出す側に求められているのは、個別のニーズに応えることのできる地域に密着した企業の姿であるとみつわは考えています。みつわは2009年より提供する海洋散骨(「日本で一番」海から遠いみつわの海洋散骨:特許庁商標T310-02900)を始め、小さなお葬式や、総額料金表示のお葬式パッケージ、葬儀社初の地域医療全国大会出展、地域食材によるできたて創作フレンチ提供など、さまざまな形で地域に向けて新しい葬送文化を提案しています。
葬儀社と病院というと、これまではあまり良い関係での「つながり」という言葉で使われてこなかったように感じますが、これから先の未来は、病院と葬儀社それぞれが死の環境を共有し、より高い安全性と、温かな気持ちでお送りできる環境を構築していくことが課題であると考えています。もし、自分の大切な家族を亡くしてしまう時に、どう大切に心を込めて送ることができるのかといった点が重要であると考えます。心や思いを形にすることは容易ではありませんが、遺体へ接する気持ちと確かな技術に裏打ちされた処置は家族に安心感と生前中の故人の面影として温かさを家族に与えてくれるものです。私達みつわにとっても今回の講演は、葬儀社としてより公益性のある仕事であると肝に銘じると共に、医療従事者とともに地域に暮らす方々へ安心を提供できるようになれるよう、一層の努力を重ねていきたいと感じさせるものでした。
本当に熱心に話しに耳を傾けてくれた浅間病院の皆様のこれから先のより一層のご繁栄とご多幸をお祈りしています。現場で処置に当たる方々の真剣なまなざしと、講演後の質疑応答に見られるような実際の現場での悩みを共有することができました。本当に有意義な会であったと感じています。私達みつわとしても、安心の輪が広がっていくことで地域に少しずつでも恩返しをしてきたいと思っています。これからも機会がありましたら、できる限りご要望に応えられる会社で在り続けたいと思っています。
メモリアルホールみつわ 篠原 憲文


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